著者
福井 健太 安川 邦美 田端 克俊 森下 啓太郎 植野 孝志 庄司 祐樹 長屋 有祐 下田 哲也
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.115-120, 2011-12-31 (Released:2012-12-18)
参考文献数
22

2005年11月~2010年7月までに,縦隔型リンパ腫と診断した猫10例に,犬のUniversity of Wisconsin-Madison chemotherapy protocol(UW25)に準じたプロトコールを行い,完全寛解率,生存期間ならびに抗癌剤の副作用について調査した。完全寛解率は90%と非常に高く,生存期間は1年未満が6例(現在生存中1例含む),1年以上2年未満が1例(現在生存中),2年以上3年未満が1例(現在生存中),3年以上が2例(現在生存中1例含む)と長期の生存期間が得られた。副作用の程度は軽度であり対症療法により回復した。このプロトコールでは25週の治療期間中に再発がみられなかった場合,過去のCOP療法の報告と比べ非常に長期の生存期間が得られることが証明された。
著者
中道 潤 安川 邦美 田端 克俊 森下 啓太郎 福井 健太 植野 孝志 下田 哲也
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.7-11, 2011-03-20 (Released:2012-04-04)
参考文献数
6

動脈管開存症(PDA)による重度の心不全の犬において,貧血と血小板減少症および脾臓の腫瘤病変が認められた。内科治療により心不全の改善を図った後,脾臓摘出術を実施した。術後一旦全身状態は改善したが,貧血,血小板減少症,低アルブミン血症,肝不全,腎不全が進行し死亡した。病理組織学的検査により血球貪食性組織球肉腫と診断した。本症例の貧血および血小板減少症の原因は,脾臓の腫瘍組織における細血管障害性溶血性貧血と腫瘍細胞の血球貪食によるものとが考えられたが,脾臓摘出後も貧血および血小板減少症が進行したことから,腫瘍細胞による貪食が血球減少の主な原因であると考えられた。