著者
横手 拓治 Takuji Yokote
雑誌
淑徳大学人文学部研究論集 (ISSN:21895791)
巻号頁・発行日
no.6, pp.156-139, 2021-03-15

宮澤賢治は散文作者として、なぜ「童話」という形式を選択したのか。児童文学者賢治が登場する初発期の事情を考察していくなかで、本稿は、こうした問いに答えを求める。評伝上注視すべき観点に関心をはらい、先行する諸説を併せて紹介しながら、賢治自身の内面に在った出来事を分析する。それらを通して、日本児童文学史上きわめて重要な作家の「誕生」に関し探求を行い、導き出された構成的説明を結論部に示す。