著者
横田 公忠 矢田部 龍一 八木 則男
出版者
The Japan Landslide Society
雑誌
地すべり (ISSN:02852926)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.15-23_1, 1998-12-15 (Released:2011-02-25)
参考文献数
21

蛇紋岩地帯では地質境界部で多くの地すべりが発生している。本論文では, この理由を蛇紋岩の生成過程にまで遡って鉱物学的に検討している。具体的には, 顕微鏡観察, X線回析, 蛍光X線分析により蛇紋岩の鉱物学的特性を調べ, また, 文献調査に基づく検討を行っている。それらの結果, 蛇紋岩の特性は蛇紋岩と磁鉄鉱それとブルサイトが共存しているところにあり, 風化に弱く細粒化しやすいが, すべり面と成り得る小さなせん断抵抗角を持つ粘土鉱物は生成されない。蛇紋岩体に隣り合って, 緑泥石層などが形成されやすく, これらはすべり面と成り得る粘土鉱物を生成しやすい。したがって, 蛇紋岩体との境界部で多くの地すべりが発生しやすいと結論できる。
著者
横田 公忠 矢田部 龍一 八木 則男
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.529, pp.155-163, 1995-12-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
14
被引用文献数
2

日本各地の蛇紋岩の風化した粘性土の強度特性ならびに含有鉱物を調べた. その結果, 強度特性に関しては,φ′が30°前後と大きく, φrへの低下が殆どないものと,φ′が30°を下回り,φrへの低下も大きいものの2つに大別できた. この強度特性の違いは含有鉱物の違いにあることを鉱物分析により示した. 即ち, 前者はアンティゴライトやクリソタイルを含み, 後者は, モンモリロナイトやクロライトを含んでおり, それがせん断抵抗角に大きく影響していることを示した.