著者
櫻井 貴敏 青山 幸生 齋藤 紀彦
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.34-39, 2015 (Released:2015-06-29)
参考文献数
14
被引用文献数
1

【目的】我々の2次救急現場では,急性胃腸炎による腹痛などの入院を要しない疼痛患者をよく経験する。そこで,四肢の疼痛,胆石の疝痛発作などに頓服として用い,鎮痛効果があると報告されている芍薬甘草湯が,救急外来における急性疼痛症例に対し,有効であるかについて,検討した。【方法】平成23年8月から11月までの期間,救急外来に救急車で搬送され,疼痛を主訴とする患者のうち,理学的,画像診断にて,生命の危機を除外できる30症例を対象とした。芍薬甘草湯エキス剤2.5gを投与し,30分後に疼痛の改善の有無を判定した。有効性はvisual analog scale(VAS)を用いて投与前後で評価した。【結果】全症例の投与前後のVAS 平均値が投与前71.03 ± 19.42mm から投与後34.86 ± 34.89mm(P < 0.01)へ有意に変化した。【考察】芍薬甘草湯は救急外来における疼痛軽減に有効である。特に,急性胃腸炎による疼痛軽減に有効である。