- 著者
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仁義堂のあるじ 集
歌川豊國 画
- 出版者
- 山田屋三四良
- 巻号頁・発行日
- 1804
仁義堂のあるじ(仁義道守)撰、歌川豊国画、狂歌入り大首役者似顔絵集。色摺。享和4年(1804)孟春、江戸・万春堂、山田屋三四(良)郎刊、大本1冊。浅草庵市人の序は、似顔絵の歴史を略説する中で、豊国の画に言及し「写神の妙たること似たりや/\杜若花あやめ瓜をふたつに割こみの向棧鋪にみるこゝちす、是に仁義堂のあるし人々の狂詠を集そへられつ」とある。役者名の記載はない。背景、鼠色のつぶし。紫、紅をはじめとする極彩色を使用し、顔に胡粉を引き、目鼻口や隈取りに意を用い、衣装の文様も艶やか。演技中の緊迫した表情を伝えるものが多い。狂歌には、歌舞伎特有の「棧敷」「入り(のおちぬ)」「せり出し」「ちう(につらるる)」「敵やく」「七変化」その他の語を詠み入れる。最終の画は5世市川団十郞で、裏に自詠「君に顔見せんと夜半もねつみ木戸明て逢ふ日の檜舞台に 市川白猿(花押)」を記す。花押は「鼻」の朱1字。(鈴木淳)(2016.2)