- 著者
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正能 [著]
- 巻号頁・発行日
- 1611
能楽囃子小鼓方幸流二代目の幸正能が各種の秘伝を記した書。内題はなく、書名は題簽による。茶色、白茶色、水色の色替わり料紙に書写。本写本は正能自筆と思われ、当て字や誤字が多い。巻末に慶長16年(1611)10月24日の幸太夫清二郎宛奥書及び同日付の覚書があり、その中間に寛永元年(1624)9月追記の相伝奥書を記す。室町時代末期の能の演出や囃子の実態を明らかにするうえで、重要な資料とされる。幸正能(1539-1626)は忠能(1509?-76)の子、通称五郎次郎、法名月軒。金春座に属し、当時一流の鼓打ちとして活躍した。相伝を受けた清二郎(清次郎)は孫の幸了能(1599-1661)である。国学者榊原芳野(1832-81)旧蔵。『能楽資料集成』13に翻刻。