著者
武 市 三 智 子
出版者
学校法人 東洋大学現代社会総合研究所
雑誌
現代社会研究 (ISSN:1348740X)
巻号頁・発行日
vol.2018, no.16, pp.23-30, 2018 (Released:2019-10-31)
参考文献数
20

2000年に制定された「循環型社会形成推進基本法」では、循環型社会の実現には3R(リデュース、リユース、リサイクル)が重要であり、その優先順位はリデュース、リユース、リサイクルであると定められている。しかし、リサイクルに比べて、リデュース、リユースは遅れていると言わざるを得ない。ところが、ここにきて、カーシェアリングやオンライン上でリユース商品を簡単に交換できるアプリケーションなど、2Rを推進する新しいビジネスモデルが普及してきた。これらの新しいビジネスモデルは、直接的に環境問題を解決しようとしたものではないかもしれない。しかし、モノを所有せずコトを消費するという新しい消費スタイルを促進するシェアリング・エコノミーは、社会を循環型社会に向かわせているといってよいだろう。本稿では、シェアリング・エコノミーが発展してきた背景には、情報化社会の進展と消費スタイルの変化があることを明らかにし、さらにシェアリング・エコノミーのなかでも特にリユースを促進する際に用いられる循環型チャネル・ネットワークが、マテリアル・リサイクルのみを念頭に置いたそれとは異なることを論じている。