著者
鈴木 周一 元井 操一郎 比恵島 康夫
出版者
The Chemical Society of Japan
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.662-664, 1961

最近, 含窒素有機物の新しい除去法として試用されて来たキノン- 活性炭処理法をショ糖中の微量タンパク様物質除去の目的に適用した。<BR>すなわち,ベンゾキノンまたはナフトキノン細末を用い,粗糖液にこれを添加し,十分反応せしめ著しく発色した液に活性炭を加えて脱色ロ過し,いわゆるキノン-活性炭処理を行なった。含窒素有機物除去度合の判定として用いられたポーラログラフによる酸素極大波抑制度の測定によれば,キノンを添加せずに活性炭処理のみで得られたショ糖液は明らかな極大波抑制作用を示すが,キノン-活性炭処理を施して得られたショ糖液は基準物質と同様な極大波を現わし,抑制物質すなわち含窒素有機物が相当に除去されていることが認められた。またいわゆるキャンデーテストによる糖液の加熱着色試験を行ない,着色度合を吸収スペクトルをもって測定した結果,キノン処理を施さないものは著しく褐色に着色するが,本法によって得られたショ糖液は可視部および紫外部領域においてともに吸光度小さく,含窒素有機物除去の効果がよく示された。