- 著者
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水原 渭江
- 出版者
- 社団法人 東洋音楽学会
- 雑誌
- 東洋音楽研究 (ISSN:00393851)
- 巻号頁・発行日
- vol.1965, no.18, pp.207-231, 1965-08-20 (Released:2010-11-30)
殷〓の発堀とそのト辞の放釈が試みられて以来、殷人の物質文化、あるいは、精神文化の一端が窺知されるに至うたが、要するに、段の王朝とは、黒陶を作り、農耕を生業とした一民族であって、盤庚に引率されて、山東の基部の曲阜より河南の安陽に移住し、彩陶の夏民族を征服して建てた所の王朝であるといえる。その殷の王朝の頃に、どのような形式内容の音楽が存在していたかについて、卜辞とか金文資料並びに後時史料等によって、多少の考察を加えたのが、中国古代音楽思想研究の第一集である。