- 著者
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永井 良樹
増田 寛次郎
- 出版者
- 一般社団法人 日本東洋医学会
- 雑誌
- 日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
- 巻号頁・発行日
- vol.60, no.5, pp.527-531, 2009 (Released:2010-02-23)
- 参考文献数
- 19
- 被引用文献数
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桂枝茯苓丸が卓効したベーチェット病の65歳の男性例を報告する。患者は38歳の時眼痛,ぶどう膜炎を発症,ベーチェット病と診断された。一年余りの後,潰瘍性の舌炎を発症,ベーチェット病の一症状と診断された。56歳の時足関節に関節炎が発症,ついで口内炎,舌炎を発症,コルヒチンとサイクロフォスファマイドが投与された。その後,口内アフタ性潰瘍,関節炎を繰り返し発症した。西洋医薬に抵抗する難治の口内潰瘍を発症したため,漢方治療を紹介された。桂枝茯苓丸が投与され,難治の口内潰瘍は完全に消失,関節炎に襲われることもなくなった。患者はベーチェット病の諸症状から解放された。ベーチェット病を治療するにあたり,桂枝茯苓丸の使用が考慮されなければならない。また,治療初期に,黄連解毒湯によると思われる肝障害が発症した。肝障害は黄連解毒湯を中止することによって消失した。薬剤疫学的に,黄連解毒湯に含有される黄芩が原因として疑われる。