著者
永尾 暢夫
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1072-1073, 2000-07-01

はじめに Kidd系の血液型は抗Jkaと抗Jkbを用いて,Jk(a+b-),Jk(a+b+),Jk(a-b+),Jk(a-b-)型の4通りに分けられる(表).そのうちJk(a-b-)型はKidd系のまれな血液型で,amorphic allele Jkのホモ個体によるものと,優性タイプの抑制遺伝子In(Jk)によるものとが知られている.Jkのホモ接合体によって発現されるJk(a-b-)型(図11))はポリネシア人に多く見られ,尿素溶液の溶血に対して抵抗性を示す.ちなみに日本人の頻度は0.002%で,50,000人に1人である2).そのほとんどはJk遺伝子のホモ個体である.In(Jk)によるものは後述のOkuboら3)の例と,他に片岡ら4),村田ら5)の報告があるのみで,諸外国でもその報告は極めて少ない.