- 著者
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江 楠
- 出版者
- 北海道大学大学院教育学研究院
- 雑誌
- 北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
- 巻号頁・発行日
- vol.138, pp.251-274, 2021-06-25
本稿では,母子世帯を,困ったことがある時に親が「頼りになる」,「頼りにならない」,「親はいない」の3つのグループに分けた上で,各世帯における,親および親以外の人からの受領サポートと情緒的・手段的サポートの状況を確認した。また,母子世帯の緊急時の支援の有無と経済的困難の重なりについても確認した。
以下の3点が指摘できる。第1に母子世帯は親と親以外の人からの受領サポートでは,親からの援助が重要な役割を担う一方で,親からの援助が得られないかつ,親以外に頼りになる人もない世帯が一定数存在した。第2に多くの母子世帯は相談相手という情緒的サポートでは,家族・親せき以外のサポートも利用するが,世話を頼む相手という手段的サポートでは,ほとんど家族・親せきに頼り,家族・親せき以外の人や制度を頼るものは少なかった。第3に経済状況が厳しく,かつ,緊急時の支援者がいないという困難が重なっている世帯が一定数存在した。