- 著者
-
江村 憲夫
- 出版者
- 一般社団法人 人工知能学会
- 雑誌
- 人工知能学会第二種研究会資料
- 巻号頁・発行日
- vol.2018, no.9, 2018
<p>本人工頭脳は人の脳の振舞いを模倣したものであって、真似ではなく、良いとこ取りである。人工頭脳が、自分の意思で情報を収集し、考え(意志の生成)、Action(行動、発話、さらなる思考)するという観点では汎用AIを目指している。但し、ディープラーニング(数値計算モデル)ファーストではなく、人の脳の振舞いを観察、極力、模倣し、究極の目標は「鉄腕アトムの頭脳」を創ることにあ る。[ 脳の振舞いの模倣事例 ] 1人は視野がAIと違って狭いため、全体を把握しつつ、注目した対象にフォーカスして行動する。このため、見えない、見ていないものまで連想/階層記憶で見てしまう。更に、視野情報以外に音声(会話)/音源/文字情報、手足の感触情報までイメージ情報(見た結果に変換)として取り込む。2外部情報(視野/音源/音声/感触)、内部情報に対し意思、記憶情報が活性化すると、自らの意思の意向に沿って、課題を生成、解決手段を見出し、具体的実行計画に落とし込む。「(視野情報)洗濯物がベランダに干してあり、雨が降り出した。(経験-連想記憶)洗濯物がずぶ濡れになる。(意思-危機感覚)大変なことになってしまう。」(課題)と考え、「家の中に取り込む。」(解決手段-人の意志)これは、雨によって危機感覚(このままでは大変なことになる)が活性化したからである。人工頭脳は、脳の振舞い(有機的情報処理)を観察・模倣し、機能分割された機能群が互いに連携しあい、全体で上手く機能する様にすると共に、上記情報処理を標準化(OS化)し、汎用のヒューマノイドロボットに搭載することで、「人と共存し、倫理・危機感覚/常識の範囲内で自発的な手助け、命令服従できる人工頭脳」を提供することが目標である。</p>