著者
江間 直美
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
vol.28, 2018-03-31

地球環境問題に関わる様々な報道やマーケティングなどのコミュニケーションは,一般的に数値的科学的データをもとに行われることが多く,一般生活者にはその内容が理解できないことが多い。一方,感性言語であり感覚的な質感で示されるオノマトペ(擬音語,擬態語)は,情報の送り手側の意図や目的を微妙な感覚や感情の側面から訴求できる可能性を有し,数値的科学的データを使用するコミュニケーション活動の補完的要素となりうると考えられる。 本研究調査は,認知脳科学的アプローチにヒントを得てオノマトペの創出モデルを設定し,「地球温暖化」「エコ/エコロジー」「生物多様性」「自然の恵み」の環境用語がどのようなオノマトペと密接な相関関係にあるのか,またその相関関係を地球環境問題に関するマーケティング戦略(環境マーケティング・コミュニケーション戦略)に適用できないか,との問題意識から検証を行った。 その結果,一般生活者は,「地球温暖化」の代替用語である「エコ/エコロジー」や「生物多様性」の代替用語である「自然の恵み」にはポジティブな反応を示した。環境マーケティング・コミュニケーション活動に対し相関の高いオノマトペは十分適用可能と想定できる。しかし,環境マーケティング・コミュニケーションへの厳格な適用を考えた場合,改めて地理的条件や気象条件,環境条例や環境規制,環境教育等を考慮した再検証が必要であると考えられる。