著者
池田 友和 大脇 渉 高橋 弘太
雑誌
研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:21888752)
巻号頁・発行日
vol.2015-MUS-109, no.2, pp.1-6, 2015-10-31

スマートミキサーは,複数の入力信号を時間周波数平面に展開し,平面上の局所領域において非線形な混合処理を行うことで,使用者の優先させたい音を目立たせた混合出力を得ることのできる新しい音信号混合法である.従来のスマートミキサーは,音声と BGM の混合を対象とした局所的な処理であり,楽音同士の混合については検討されていなかった.本研究では,楽音同士の混合を対象として,スペクトルの全体構造に基づいた処理を行い,協和性理論を規範とし,調和の取れた混合出力を得るミキシング手法を提案する.提案手法でのミキシング結果を聴取実験と不協和度によって評価し,楽音同士の混合における,スペクトルの全体構造に基づいた処理の不協和感の緩和への有効性を確認した.その結果,440Hz 以下の半音音程の不協和な定常音について,不協和感の緩和効果があることが確認できた.