著者
森 伸一郎 池田 悦夫
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.582, pp.247-263, 1997-12-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
37
被引用文献数
2

東京都新宿区四谷の江戸城四谷御門外の一連の遺跡調査において, 江戸城外堀の盛土周辺で地震の痕跡が検出された. 地震の痕跡には, 地割れ, 地滑りのほか, 噴砂脈が認められた. 現地調査, サウンディング, 粒度・比重・重鉱物・珪藻などの土質分析, および周辺の地質調査資料に基づき, 噴砂脈の供給源が更新統 (洪積層) である東京層にあることを確認した. 考古学・地震学・地盤地震工学の観点から, 地震の発生時期を特定した. 液状化しにくいと考えられていた洪積砂層も強地震動の下では液状化しうることを示した. 有史以来の歴史地震で洪積層が液状化したことを確認した初めての例である.