著者
林 泰司 矢田 英昭 穴井 真紀子 馬野 高昭 河津 孝二 穴井 俊二 梶原 利彦 山崎 寛治
出版者
The Japanese Society of Toxicology
雑誌
The Journal of Toxicological Sciences (ISSN:03881350)
巻号頁・発行日
vol.19, no.SupplementII, pp.145-153, 1994-10-15 (Released:2008-02-21)
参考文献数
7
被引用文献数
1

TAZ/PIPCおよびTAZのマウス, ラットおよびイヌにおける単回投与毒性を検討し, 以下の結果を得た。1. マウスおよびラッ卜ではTAZ/PIPC, TAZともすべての投与経路において軟便がみられ, 皮下, 腹腔内および静脈内投与では自発運動の低下あるいは呼吸数の減少などもみられた。TAZ/PIPCの静脈内投与の死亡例では, マウスで振戦, ラットで間代性痙攣を呈し死亡し, 剖検では肺の充血, 出血または水腫, 消化管の出血などがみられた。また, TAZ/PIPCを投与した生存例の一部に脾の腫大がみられた。2. イヌではTAZ/PIPC投与により嘔吐がみられ, TAZ投与により嘔叶, 呼吸異常, 軟梗あるいは下痢便などがみられた。3. マウスおよびラットでは, 本剤の刺激性による投与部位の脱毛(皮下投与), 尾部の壊死(静脈内投与), イヌでは投与前肢の跛行がみられ, 剖検では壊死, 出血, 腹膜炎(腹腔内投与)などがみられた。4. TAZ/PIPCでは, マウスおよびラットの経口, 皮下および腹腔内投与でのLD50値は, 5,000mg/kg 以上(雌雄)であった。静脈内投与ではマウスが5,000mg/kg以上(雄), 4,565mg/kg(雌), ラットが3,157mg/kg(雄), 3,992mg/kg(雌), イヌが5,000 mg/kg以上であった。TAZでは, マウスおよびラット(雌雄)の経口, 皮下, 腹腔内, 静脈内投与およびイヌの静脈内投与ではLD50値は5,000 mg/kg以上であった。