著者
河津 由紀子
出版者
特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
雑誌
日本小児循環器学会雑誌 (ISSN:09111794)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.15-20, 2022-02-01 (Released:2022-08-31)
参考文献数
9
被引用文献数
1

近年,胎児心エコー検査の進歩と増加に伴い,本邦においても胎児期に多くの先天性心疾患が診断されるようになった.その一方で,出生直後に初めて診断される場合も依然,少なくない.今回,児の診断を受けた家族に対する「カウンセリング」について,それぞれの場合について説明する.1. 胎児診断の場合:家族の不安そして,診断が変わりうる不確定な要素にも注意が必要である.それらを理解したうえで行うカウンセリングの目的や実際,内容,家族支援について概説した.2. 出生直後の場合:胎児診断の場合と異なり,生後突然の診断かつ診断(児に心疾患があること)が確定している状況である.胎児診断と異なる部分について概説した.胎児期および出生後いずれの診断においても,小児循環器医は,心疾患の正確な診断ばかりでなく,家族に対して「カウンセリング」することも必要である.また,カウンセリングを自ら行い,チームを主導する立場にあるという自覚も重要である.