著者
金 まどか 河野 晋治
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
pp.18-17FB_OA, (Released:2018-08-15)
参考文献数
8

凍結および解凍工程は,キンメダイをはじめとする赤色魚類の体表色の色彩変化を引き起こすことが知られているが,この色彩変化は,これらの魚の商業的価値を低下させる.本研究では,凍結解凍工程における体表色変化の原因を調べるために,キンメダイ鱗内のアスタキサンチン含量と赤色素胞の分散を測定した.凍結解凍前後の体表色をComputer Vision System を用いて数値化することにより,体表色変化は,–30 °C 下では凍結保管期間の影響を受けないことが明らかとなった.また,アスタキサンチン量は凍結解凍前後でほとんど変化しなかった.鱗内の赤色素胞の凝集と虹色素胞の損傷が,顕微鏡での観察により認められた.これらの結果より,凍結保管工程における色彩変化は,アスタキサンチンの酸化・分解だけではなく,鱗内の色素胞構造の変化にも原因があることが明らかとなった.