著者
河野 雅洋
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.729-734, 2007-07-20 (Released:2008-09-12)
参考文献数
13

当帰芍薬散が著効した絨毛膜下血腫の2症例を経験した。2例とも妊娠第2三半期おいて絨毛膜下血腫による性器出血がみられた症例である。当帰芍薬散を投与したところ, 投与後1週以内に性器出血はみられなくなった。絨毛膜下血腫も投与後2週以内には消失し, 妊娠39週で2470gおよび3324gの児を経腟分娩した。漢方学的所見では2例ともお血, 水滞および四肢の冷えを認めた。絨毛膜下血腫の存在は妊娠転帰に悪影響を及ぼす可能性があり, 何らかの対策が必要であると思われるが, 現在までのところ西洋医学において有効な治療法は確立されていない。今回の2症例では当帰芍薬散が著効したことから, 絨毛膜下血腫の治療法として当帰芍薬散も有効な選択肢の一つになり得るものと考えられた。