- 著者
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洪 繁
- 出版者
- 一般社団法人 日本膵臓学会
- 雑誌
- 膵臓 (ISSN:09130071)
- 巻号頁・発行日
- vol.32, no.2, pp.125-139, 2017-04-25 (Released:2017-05-02)
- 参考文献数
- 23
- 被引用文献数
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ヒトは,自身で栄養を作ることができない.生命を維持するためには,植物や他の動物を摂取し,消化管から体内に吸収できるレベルまで消化する必要がある.膵疾患では,消化酵素分泌機能が多かれ少なかれ障害されているため,補充療法が必要であることが多い.消化酵素製剤は,ブタ膵臓抽出酵素であるパンクレアチンと様々な微生物消化酵素の複合である.パンクレアチンは,アルカリ域でのみ活性を示すが,微生物由来酵素は酸性から中性,アルカリまで至適pH域が広く胃でも消化が期待できる.製剤に配合される酵素の種類により製剤間で消化活性に違いがあるが,これまで消化活性の違いに着目した報告は殆どない.そこで本稿では,日本と海外の消化力測定法の違いと,これまで殆ど顧みられることのなかった各々の医療用消化酵素製剤の特長,およびそれに応じた使い分けについて紹介する.