著者
洲脇 志麻子 立入 哉
出版者
Japan Audiological Society
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.86-92, 2006-02-28 (Released:2010-08-05)
参考文献数
12
被引用文献数
1

聴覚障害児が学ぶ教室の音響環境を改善するために, 補聴システムが必要である。FM補聴システムのようにSN比, 残響時間を改善するものをはじめとし, 指向性マイクロホンシステム等が検討されている。これらの補聴システムを選択する際, 各システムの特徴を考えると, SN比のみならず, 残響時間の改善をパラメータに加える必要がある。本研究ではSN比, 残響時間が音声聴取に及ぼす影響について, RASTIを指針として文章了解度, 主観的評価という2つの観点から考察した。結果, 両群共にRASTIの向上に伴って文章了解度が向上すること, 残響時間の改善によって主観的評価が向上することが明らかになった。この点からは, 補聴システムを選択する際, SN比のみでなく, 残響時間を含め, 複合的な評価が必要であることが示唆できた。