著者
古庄 仰 浜瀬 健司
出版者
低温科学第78巻編集委員会
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.78, pp.287-294, 2020-03-24

高等生物体内ではL-アミノ酸が過剰に存在して主に利用されており,鏡像異性体の関係にあるD-ア ミノ酸は殆ど存在しない.このL型過剰はホモキラリティと呼ばれ,その偏りの起源解明として地球 外試料中のキラルアミノ酸分析が注目されている.多様な構造異性体を有する様々な有機化合物が含 まれる地球外試料中で微量キラルアミノ酸を分析するためには,高い感度と選択性を兼ね備えた分析 法が必須である.アミノ酸の蛍光誘導体化と複数の分離機構を組み合わせた多次元HPLCは,最も有 用な分析法の一つである.本項では多次元HPLCの開発と様々な試料への適用例,ならびに多次元 HPLCを用いた炭素質隕石中のキラルアミノ酸分析について報告する.