著者
浦田 康成
巻号頁・発行日
no.11, pp.33-42, 0000

【要約】近年、社会構造の変化を反映し、児童虐待など、子どもとその家庭をめぐる問題は、ますます深刻化している。また、精神保健福祉士を取り巻く環境の変化に伴い、精神保健福祉士が果たす役割は、精神障害者に対する支援だけでなく、精神障害等によって日常生活や社会生活に支援を必要とする者、精神保健の課題を抱える子どもやその家庭等への支援にも拡大してきている。これまで精神保健福祉士の支援対策として、児童・思春期の子どもたちがあがることは、特段多いことではなかった。しかし、子どもやその家庭を取り巻く環境は著しく変化しており、子どもとその保護者をめぐる問題は多様化・複雑化している。本稿では、日本の児童虐待の現況について概観するとともに、子どもやその家庭に生じる精神保健上の課題に対する精神保健福祉士の役割や適切な支援について考察する。