著者
清水 玄彦
出版者
神戸大学経済経営学会
雑誌
国民経済雑誌 = Journal of economics & business administration (ISSN:03873129)
巻号頁・発行日
vol.220, no.5, pp.63-71, 2019-11

ケインズはマクロ経済学を創始し, ポパーは科学と非科学との境界設定の基準として反証可能性を提唱したことは知られている。しかし, 彼らが通常とは異なる確率概念をそれぞれ提唱したことはあまり知られていない。確率については通常, 古典的確率, 相対頻度(統計的) 確率, 主観的確率の三種類が紹介され, これらいずれの確率とも整合的である公理的確率を用いるのが一般的である。これに対してケインズは論理的確率を, ポパーは傾向的解釈を創案した。果たしてこれらの確率概念はどういう特徴を有しており, またどういう役割を果たすことができるかについて検討する。