著者
都田 達也 渡辺 健衛 本間 靖昭 江連 恒夫
出版者
千葉県蚕業試験場
雑誌
千葉県蚕業試験場報告
巻号頁・発行日
no.11, pp.1-41, 1977-03

全耕地面積150a、労働力2名(夫婦)の経営規模の中で、桑園面積50aの養蚕を中核とし、これに水稲、養豚、露地野菜、ブロイラーなどの作目を加え、3~4種類の作目を組合せて、年収300万円以上の農業収入を目標にした複合経営の組立てを、農家の実態調査の結果及び統計資料をもとに、主として労働、施設利用の面に重点をおき検討した。1)養蚕+水稲+養豚 設定規模において、目標を達する場合、肥育豚経営の場合は年間200頭以上、繁殖・肥育一貫経営の場合は、年間子豚生産頭数320頭以上を必要とすると考えられ、他に桑園の間作が加われば更に有利な経営と考えられる。2)養蚕+水稲+露地野菜 この形態において、露地野菜の場合冬期間の労働力の利用ということに重点を置きすぎると、季節性の高いものだけに満足のゆく収入を得られない場合が多い。したがって、養蚕・水稲との労働競合はさけられ得ないとも考えられ、夏野菜の組入れにより、桑園間作も含めて、年間の畑地の高度利用の組立てが重要なポイントと考えられる。3)養蚕+水稲+ブロイラー 中核となる養蚕の技術体系中の蚕室を利用する場合を重点に考えると、飼養可能羽数は4,000羽となり、目標の収入を得ることは出来ない。この対策として、冬期間の桑園間作へのとり組みが必要となって来る。4)養蚕+水稲+椎茸 目下、生椎茸の値段は比較的安定し、複合経営にとっては有望な作目であるが、目標の収入を得るには20,000本程度のほだ木を伏込み、毎年10,000本程度の補充が必要である。したがって必要な原木を確保出来てしかも、ほだ木を伏込むほだ場のあることが、椎茸栽培を経営上有利にするための重要な条件となる。