著者
渡辺 史央
出版者
京都産業大学
雑誌
高等教育フォーラム = Forum of Higher Education Research (ISSN:21862907)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.13-24, 2022-03-29

近年、スポーツのグローバル化に伴い、海外から日本にスポーツを目的に留学する外国人留学生が増加傾向にある。しかし、彼らへの日本語教育や言語支援についての具体的な実践研究はこれまでほぼなされていないのが現状である。本研究は、外国人スポーツ留学生の日本語支援の一環となる教材開発や教育実践に向けた研究ノートである。授業において、ラグビー情報誌からの英語とトンガ語の語彙リストの作成を学習者主体の活動として行った。考察の結果、英語からの借用語以外に、スポーツ全般に共通する語、一般的な意味とは異なる使い方や競技特有の状況や文脈における使われ方をする語などがあり、今後の専門日本語教育の実践において留意すべき点が明らかになった。さらに、授業におけるタスク活動の取り組みを紹介し、スポーツを目的とする留学生の日本語クラスでは、学習者ニーズを特定化することの重要性に加え、TBLT 理論に基づくタスク・ベースの授業実践が有効であることを示唆した。