著者
野宮 謙吾 渡辺 静香
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.11-18, 2004
参考文献数
15

本研究は、和文書体を見ることにより想起される視覚イメージと、読むことにより想起される音声イメージの関係について明らかにすることを目的としている。本調査では、語感の音声イメージ及び和文カタカナ書体の視覚イメー-ジそれぞれについてアンケートを行い、共通に選択されたイメージ(形容詞)を抽出した。さらに、和文カタカナ書体の特徴的なエレメントのみによる視覚イメージ調査を行い、特定のイメージを想起させる要素の絞り込みを試みた。分析の結果、和文カタカナ書体の視覚イメージと語感からの音声イメージの間には、共通のイメージ(形容詞)が存在することが確認できた。細いウェイトの書体についても、特定の音声とイメージの一致傾向がみられることから、本文組みの文字においても、書体の違いによって意図的に音声イメージを感じさせることができる可能性もあると考察した。