著者
渡辺,澄夫
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, 2012-02-05

統計的推測の問題を考えるときに現れる物理学と数学について紹介する。統計的推測の問題は、ランダム・ハミルトニアンによって定義されるカノニカル分布のもとでマクロな変量の挙動を考える問題と等価である。特に、観測データの背後にある構造を推測する場合には、基底状態が特異点を持つ解析的集合であるカノニカル分布を考察する問題になり、マクロな変量が従う法則を導出する際に代数幾何などの数学的手段が有効である。統計力学と類似する理論の構築により、統計的推測においても普遍性を持つ公式が存在すること、および、その公式は双有理不変量を与えていることが明らかになる。