著者
神崎 保 溝口 志真子
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.490-493, 2004 (Released:2005-10-21)
参考文献数
16

健常人ボランティア8人 (n=8), 悪性黒色腫 (MM) 患者 (n=5) 及び成人T細胞白血病 (ATL) 患者 (n=11) にヨクイニン (18錠/日) を2カ月以上内服させ, 末梢血中のnatural killer (NK) 細胞活性とIFN-γレベルを測定した。その結果, 健常人のNK活性は49.6±7.50から58.4±7.32と有意 (p<0.05) に上昇した。しかし, IFN-γレベルは不変であった。一方, MM及びATLの患者では強力な化学療法と疾患自体による免疫力低下が起こると予測されたにもかかわらず, NK活性の顕著な低下はみられなかった。両者ともIFN-γレベルは初めから測定限界以下であった。以上の結果から, ヨクイニンが健常人ではNK活性を高めることより, 疣贅の病巣部位に免疫反応を惹起させ消退させていることが推察された。また担癌患者へのヨクイニン投与ではNK活性の低下をある程度防御し, ヨクイニンが癌治療補助への有用な薬剤である可能性を示唆すると考えた。