著者
熊野 達夫 小沢 年弘
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2016-OS-136, no.2, pp.1-9, 2016-02-22

企業や大学などの組織で仮想デスクトップインフラストラクチャー (VDI) が一般的に使われるようになってきている.VDI では複数のユーザが 1 つのストレージ装置を共有するため,ストレージが性能のボトルネックになる可能性がある.このボトルネックを解消するためには,VDI によるストレージ I/O の特性を知る必要がある.そこで,我々は企業で約 300 ユーザによって大規模に使われている VDI サービスで,サーバとストレージ間のネットワークに流れるデータをキャプチャすることにより,ストレージのトレースを取得した.取得したトレースを,アクセスされるブロックの論理アドレスと時刻の観点で分析した.各ブロックを,アクセス頻度の時間変化の類似性でクラスタリングしたところ,アドレスが連続したブロックが同じクラスタに分類されることが多いことが分かった.また,複数の日にわたってこの傾向が大きくは変化しないことが分かった.この結果から,ブロックごとのアクセス傾向の類似度を利用して効果的に階層制御を行う可能性を見出した.