著者
牧野 由理
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.289-300, 2018 (Released:2020-04-02)
参考文献数
36

本研究は,明治期の旧開智学校において使用していた教育掛図や備品台帳を対象とし,視覚教材として掛図が与えた影響について検討したものである。明らかになったことは以下3点である。 (1)明治43(1910)年の備品台帳の分析によれば,1,244点の掛図を所蔵していた。10分類のうち最も多い掛図は「地理部」であり,次いで「修身部」,「歴史部」,「動物部」,「国語部」の順である。 (2)備品台帳の「著作者又ハ発売者」の集計によれば,「職員」が198点(16%)の掛図を作成していた。「職員」による掛図は信州地域の地図や歴史,産業など地域に密着していたことや,「松本教育品博覧会」の影響を受けていたことがわかった。 (3)「歴史部」の掛図の一部には,日本画家である岡倉秋水や女子高等師範学校図画講師の森川清が図を手掛けていたものが含まれていた。他教科の教育掛図を通して間接的ではあるが画家の絵に美的感受を受けていたことが示唆される。
著者
牧野 由理
出版者
美術科教育学会
雑誌
美術教育学:美術科教育学会誌 (ISSN:0917771X)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.427-439, 2017

本稿は明治初期に開設された島根県師範学校附属幼稚園(現・島根大学教育学部附属幼稚園)の図画教育について検討したものである。保姆による明治期の保育記録を読み解き,図画教育に関連する手本や絵画の分析を通して考察した。その結果,箸環排などの直線や曲線を用いた手技を関連させながら図画を行うことで輪郭線を理解させるような方法論をとっていたこと,談話や唱歌といった他の領域と画方を関連させようとしていたこと,浮世絵などの色鮮やかな図版を多数所有し,中には保姆による手描きの動物図・人物図が含まれていたことが明らかとなった。
著者
牧野 由理
巻号頁・発行日
2012

筑波大学博士 (芸術学) 学位論文・平成24年3月23日授与 (甲第6198号)