著者
猪股 吉三
出版者
公益社団法人日本セラミックス協会
雑誌
窯業協會誌 (ISSN:18842127)
巻号頁・発行日
vol.90, no.1045, pp.527-531, 1982-09-01
被引用文献数
4 4

焼結の進行に伴う表面及び粒界のエネルギーの減少と物質移動速度を関連させ, 立方稠密充てんの等容積球体の収縮速度を理論的に導き, 収縮速度への表面及び粒界エネルギーの寄与を検討した. こうして得られた速度式によれば, 粒界エネルギーが表面エネルギーと同程度か, それ以下であって, 粒成長が起こらなければ, 始めて閉気孔が生成するまでの段階は, 次式で表されることが期待される.<br><i>ΔL/L</i><sub>0</sub>∝<i>t<sup>m</sup></i>ここに0.26<<i>m</i><0.58<br>また, 粒界エネルギーが, 表面エネルギーの√3倍以上であると, この系は完全に焼結せず, 開気孔を残した状態で, 収縮の平衡点に到達することを示し, このような場合についても, 前記した概念に基づいて収縮速度を算出した.