著者
猪股 美沙紀 桑原 亜海 石崎 裕佳 齊藤 展士 平田 恵介
出版者
Saitama Physical Therapy Association
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.21-24, 2022 (Released:2022-06-04)
参考文献数
11

【はじめに】片脚着地動作における非接触型前十字靭帯損傷では膝関節外反の他に体幹側屈が危険因子と言われている。膝関節外反が生じやすい着地環境には傾斜面が想定される。本研究は,傾斜面環境での片脚着地動作において,衝撃吸収時の対応戦略を明らかにすることを目的に動作解析を行った。【方法】成人男女9名にて,傾斜面,および平坦面への片脚着地動作における膝関節と体幹関節角度の違いを比較した。【結果】膝関節外反最大角度は平坦面に比べ,傾斜面で有意に大きかった。着地により骨盤の着地脚側への傾斜,体幹の非着地脚側への側屈角度変化が生じたが,傾斜面の方が有意に小さかった。【考察】傾斜環境では膝関節外反が増大した一方,体幹の動揺を抑える対応が平坦面よりも行われていた。これは,姿勢の平衡維持や視線の安定を図る前庭と視覚の制御により体幹と頭頸部の固定性を高める課題依存的な戦略が傾斜環境で行われた可能性がある。