- 著者
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稲葉 宏幸
玉井 拓人
- 雑誌
- 研究報告セキュリティ心理学とトラスト(SPT)
- 巻号頁・発行日
- vol.2014-SPT-10, no.42, pp.1-6, 2014-06-26
現在,パスワード認証方式は,様々な情報システム,サービスにおいて幅広く利用されている.一方で,利用者が安易に脆弱なパスワードを使用したり,一つのパスワードを複数のシステムで使い回したりするという問題点が知られており,第三者にパスワードを推測されたり,攻撃者が流出したパスワードを利用して他のシステムに侵入を試みるといった事例が後を絶たない.他人に推測されにくいパスワードを多数生成する方法として,ランダムなパスワードを機械的に生成する方法が考えられるが,このようなパスワードは一般的に入力しにくいという問題がある.そこで,本報告では,人間が短期的に記憶しやすい 5~9 文字からなる文字列をマルコフ過程を用いることにより自動的に生成し,それらをいくつか連接することにより,推測されにくく,かつ,入力が容易なパスワード文字列を生成する手法を提案する.提案手法によって生成されるパスワードは,同程度の安全性を有するランダムなパスワードに比べて半分程度の時間で入力が可能であり,パスワード認証の利便性を大きく向上させることが可能である.