著者
田中 豊一
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.542-552, 1986-07-05
被引用文献数
3

高分子ゲルのまわりの温度や, 溶媒組成などを変えていくと, あるところでその体積が1000倍にも不連続に膨潤したり収縮する. この現象が相転移であり, 気体-液体の間の相転移のように普遍的で, あらゆるゲルに起こり得ることが明らかになってきた. この相転移現象の中に, ゲルを構成している高分子のミクロな個性と特徴が, 増幅されてくっきりと浮かび上がる. さらに, この現象を利用して, ゲルを人工筋肉やロボットの記憶素子, 表示素子, エネルギー変換素子, 選択的吸収体などとして応用する可能性が開けた.