著者
田中,享
出版者
日本生物工学会
雑誌
生物工学会誌 : seibutsu-kogaku kaishi
巻号頁・発行日
vol.93, no.1, 2015-01-25

光合成細菌変異株R. sphaeroides CR-720株は,前駆体として50mMグルコース,60mMグリシン,ALA脱水酵素阻害剤として5mMレブリン酸および5g/L酵母エキス存在下,3L発酵槽でALAを生産させたところ,ALA生産に伴って増加する未知のアミノ酸を検出した.未知のアミノ酸は5-アミノ-4-ヒドロキシ吉草酸(AHVA)と同定した.CR-720株は培養温度32℃条件下でALAを41mM生産したときAHVAを2.9mM生産した.光学異性体分離カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーにより,CR-720株は(S)-(+)-AHVAを特異的に生産していることを確認した.培養温度を検討した結果,28℃でALAを44mM生産したとき,AHVA生産量は1.1mMであった.さらにALA生産の培地を改良し,5kL発酵槽を用いて培養温度28℃および通気速度0.02vvm一定条件下で攪拌速度を調節し溶存酸素濃度を0.5mg/L以下に制御した結果,最終的にCR-720株によるAHVAの生成を1.9mMに抑制でき,ALAが72mM生産され,生産速度として1.4から1.5mM/hを得た.