著者
小西 純一 田島 二郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.45-60, 1994-06-09 (Released:2010-06-15)
参考文献数
18

開通から100年、廃止から30年を経た、信越本線横川軽井沢間の旧線 (旧碓氷線) 線路敷に残る構造物の一部、5橋梁が、近代化遺産として、国の重要文化財に指定された。旧碓氷線の土木構造物は橋梁、トンネルとも、大部分が煉瓦造であることが特徴である。スパンの大きい橋梁を、アブト式急勾配鉄道ゆえに煉瓦アーチとしたのである。本論文では17橋あった煉瓦アーチ橋を従来ほとんど紹介されることのなかったものを含めて、その形態を側面図で示すとともに、現存橋の現況調査を踏まえて、技術的あるいは意匠上の特徴を明らかにし、わが国の近代橋梁史上の地位を論じた。また、トンネルについては、現存する坑門を中心に、考察を加え、旧碓氷線の構造物の、文化財的な価値について考察した。