著者
田島 亜紀 玉井 一司 山田 麻里
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.525-529, 2004-04-15

後天性梅毒により急性視力障害が起こった2例を経験した。1例は85歳女性で,1週間前からの両眼霧視で受診した。1年前に白内障手術を受け,矯正視力が右0.6,左0.8であったが,受診時には右0.1,左0.2に低下していた。両眼に虹彩炎,網脈絡膜萎縮,黄斑浮腫があった。梅毒血清反応が陽性であり,梅毒性網脈絡膜炎と診断した。駆梅療法を行い,2か月後に視力が右0.7,左1.0に改善した。他の1例は36歳男性で,1週間前からの左眼霧視で受診した。3週間前から両側の手足に皮疹があった。矯正視力は右1.5,左0.5であった。左眼の視神経乳頭が発赤,腫脹し,視神経乳頭炎と診断した。血清と髄液の梅毒反応が陽性であり,皮疹は梅毒2期疹であると診断された。駆梅療法と副腎皮質ステロイド薬の全身投与を行った。1週間後に左眼視力は1.0に回復し,3週間後に眼底所見はほぼ正常化した。