著者
田辺 義次 赤松 徹 前田 哲哉 岡本 昭二
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.37, no.5, pp.755-759, 1975-10-01 (Released:2012-03-24)
参考文献数
15

本症の報告は少ないが, けつしてまれなものではない。著者らは, 19, 24, 38才の男子例を経験した。臨床像は3例ともほぼ同様で, 軟骨様硬の索状硬結が陰茎包皮の冠状溝への移行部に蛇行状に認められた。性病歴なく, そのほかの既往歴にも本症との関連性が疑えるものはなかつた。また外国の症例で強調されている性交渉との関係は認められなかつた。組織学的特徴はリンパ管壁の肥厚ないし硬化である。肥厚した壁は結合織が大部分を占め, これに浮腫性変化とわずかのリンパ球および組織球が混在している。内腔は壁の高度肥厚のため, また肥厚に加えて内壁に付着した血栓様構造ないしその器質化のため狭小化, ときに閉塞状態になつている。きらに電顕的に内皮細胞を観察し, 光顕像とあわせて硬化性リンパ管炎と考えた。とくに治療せずに経過観察, 6~8週で略治の状態になつた。病名および「異所性モンドール病」について若干の文献的考察を行なつた。