著者
畑 輝史 オブラン ピエールルイ 河野 健二
雑誌
研究報告システムソフトウェアとオペレーティング・システム(OS) (ISSN:21888795)
巻号頁・発行日
vol.2020-OS-150, no.7, pp.1-8, 2020-07-23

オンラインゲームにおけるスケーラビリティ向上のため,ゲームのコア・ロジックをクライアンサイドに移譲するようになっている.クライアントサイドのコア・ロジックは原理的に覗き見・改竄が可能であり,いわゆるチート行為の防止・検出が困難となっている.本論文ではチート耐性とスケーラビリティを同時に達成するアーキテクチャを提案する.チート耐性を高めるために Trusted Execution Environment (TEE) を使用し,スケーラビリティのためにピア・ツー・ピア型を採用する.コア・ロジックを TEE 内で実行することで,悪意のあるクライアントからセンシティブなデータおよびコードを保護し,覗き見や改竄を防止する.TEE として Intel SGX を利用し,ZDoom という実際のファーストパーソン・シューティング型のゲームに適用したところ,原理的にチート耐性が向上しているにもかかわらず,チート耐性の低いアーキテクチャと同等のスケーラビリティを達成できることを示す.