著者
白壁 恭子
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.15-20, 2018-12-20 (Released:2019-12-20)
参考文献数
15

生物はDNA, RNA,タンパク質,糖質,脂質といったさまざまな有機化合物で構成されているが,なかでも生命現象を生み出す原動力となるのはタンパク質である.タンパク質には,修飾を受けることで活性や局在がダイナミックに変化する,というほかの化合物にはない性質があるからである.膜タンパク質シェディング(以下シェディング)は,細胞膜に埋め込まれた膜タンパク質を切断し細胞外領域を可溶化するという,タンパク質の存在様式を不可逆に変換する影響力の強い修飾機構である(図1).本稿ではまずシェディングの生物学的な意義について説明し,続いて筆者の研究から明らかになったシェディングの役割や制御機構に関する知見を紹介する.