著者
相浦 英春
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.73-79, 2005-02-01
被引用文献数
2

斜面積雪の安定に必要な林分の条件を, 斜面雪圧によって立木に根返りが発生しないとともに, 林内の積雪が安定していることとし, 各種の森林における積雪の移動量や, 立木に加わる斜面雪圧などの測定を行い, そのような条件を満たす立木密度についてスギとブナを対象に検討した。その結果, 斜面雪圧によって立木の根返りが起こらない限界の立木密度は, 最大積雪深と立木の根元直径によって樹種ごとに決定された。また, 林内の積雪を安定させるためには, 立木がほぼ均等に分布していることを前提として, 立木密度400本/ha以上が必要であった。したがって, 斜面積雪の安定に必要な立木密度は, これらの条件をともに満たす値として求めることができた。