著者
眞田 慎 岡田 志麻
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.224-224, 2017

<p>現在の日本において,聴覚・言語障害者が360,000人であるのに対して手話通訳士は3,406人となっており,聴覚障害者に比べて手話通訳士の人数が少なくなっている.この状況は,聴覚障害者と健聴者間の円滑なコミュニケーションを困難にし,聴覚障害者の積極的な社会参加を妨げる要因の一つとなっている.この問題を解決する手段として,本研究ではKinect v2を用いた手話通訳士を介さないリアルタイム手話通訳システムの開発を行った.また,手話動作の認識において動作者の表情が重要なパラメータとなることから,本システムでは腕の動きと手の形,表情の3つの状態を認識し,それぞれArms Motions,Hand States,Facial Expressionsパラメータとして動作データの取得を行う.さらに,取得した各パラメータデータの組み合わせから手話動作を特定し,通訳結果をモニター上にテキストで表示する.本研究では,各パラメータ認識手法の検証実験と通訳システムの実証実験を行った.検証実験の結果において,Arms Motionsで100%,Hand Statesで86%,Facial Expressionsで88%の認識精度が得られた.また,実証実験の結果において,3つのパラメータ認識手法を組み合わせた手話通訳システムを用いた手話単語の通訳に成功した.以上により,本システムの手話通訳における有効性が示された.</p>