著者
眞砂 照美
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大學大學院紀要 (ISSN:13442422)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.175-191, 2001-03-01

視覚障害をもつ人の学習は、一般に点字図書と録音図書を使用して行われるが、わが国では、そのほとんどがボランティアによって制作されており、その絶対量の不足とジャンルの偏りが指摘されている。視覚障害者の学習環境は十分に整備されているとは言い難い状況である。本稿は、音訳活動をボランティアとしての捉え方ではなく、生涯教育の視点から考察するところに特長がある。まず盲先覚者の学び方を取り上げ、読みという活動について整理し、さらに非文字情報の音訳化の実験を通して音訳活動の性格について検討した。その結果、音訳活動には、読み手側の学習経験や読む能力が大きく影響し、視覚障害者のための音訳活動が結果的に、音訳者自身にとっても新たな学習形態を創り出すことが明らかになった。