著者
井戸 和秀 矢内 淑子
出版者
岡山大学教育学部
雑誌
岡山大学教育学部研究集録 (ISSN:04714008)
巻号頁・発行日
vol.131, no.1, pp.93-99, 2006

我が国では,正式に音楽教育を受けるということは,西洋音楽を学ぶということと等しい。それは,伝統音楽が一部導入されるようになった現在でも真実である。特に,音楽大学や教員養成大学において,歌の学習といえば,イタリア語やドイツ語,英語等で歌うことが当然のこととなっている。それでは,多くの日本人は,歌われる外国語の意味や歌のイメージをどのように感得しているのだろうか。そこで,本研究では,歌を歌う際の言語の違い -ドイツ語と日本語-が聴取者に与える感得を調査した。その結果,シューベルト作曲「野ばら」をドイツ語で歌った場合には,言語の意味は不明ながら,概ね軽やかでリズミックに,日本語で歌った場合には,言語の意味は漠然としながら,概ね柔らかで流れるように感得された。