著者
篠原未歩 石井英里子 星野祐子 山田光穗
出版者
特定非営利活動法人 パーソナルコンピュータ利用技術学会
雑誌
パーソナルコンピュータ利用技術学会論文誌 (ISSN:18817998)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.40-55, 2021 (Released:2022-03-18)

映像視聴が人にもたらす効果の研究では,主観評価や眼球運動計測を用いる研究が多く行われているが,生体信号を軸とした研究事例が少ないのが現状である.また,「癒やし効果」に関しては評価基準が難しく,明確な研究報告が行われていない.そこで,本研究では「癒やし効果」に着目し,主観に左右されない生体信号を用いることで高精細映像がもたらす効果を明らかにする.癒やし効果の評価にはリラックスに関連する副交感神経の影響を評価することが最適だと判断し,計測する生体信号は心拍数,呼吸数,脳血流動態,皮膚温度とした.さら に,映像品質に関する重要な要素である解像度と色域 ・輝度に着目し, ,2種類の実験を行うことで,より詳細に高精細映像が人にもたらす癒やし効果を解析・検討した. 本研究結果では,高解像度・広色域・高輝度の自然映像に 大きな 効果が見られた.このことから,高品質な映像条件で視聴することによって,実際に見る景色に近づき,自然の中にいる時と同等の癒やし効果を得られる可能性が高いことを示した.