著者
葉葺 久尚 石山 央存 横尾 闘太 大野 峻史 阿部 綾 古俣 修 丸田 文之
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.62, no.9, pp.649-658, 2013 (Released:2013-09-27)
参考文献数
6
被引用文献数
4 4

福島第一原子力発電所事故により放出された放射性セシウム(134Cs,137Cs)について,阿賀野川上流域からの砂泥等流入による下流域への移行状況を把握するため,2011年8月から2012年5月の間,同河川及び沖合海底土等の放射能濃度を調査した。河川水から人工放射性物質は検出されなかったものの,河川底質や河岸堆積物,沖合海底土からは放射性セシウムが合計で6.9~3.1×102Bq/kg乾(2012年5月現在)の範囲で検出され,事故以降の時間経過とともに,これら核種が次第に下流・沖合へ移動していることが示唆された。また,粒径の小さな土壌粒子が多いほど,放射性セシウムの濃度が高いことがわかった。さらに,室温で2時間の条件下での塩酸溶液による河川底質及び海底土からの放射性セシウムの溶出割合を調べたところ,0.1~0.5Mの濃度では抽出されないことがわかった。