著者
石崎 修造 浦 伸孝 右田 雄二
出版者
長崎県環境保健研究センター
雑誌
長崎県環境保健研究センター所報 = Annual report of Nagasaki Prefectural Institute for Environmental Research and Public Health (ISSN:09140301)
巻号頁・発行日
no.53, pp.47-52, 2008-11

近年、大型の淡水性二枚貝であるイケチョウガイによる湖沼等の水質改善の試みが全国各地で行われ始めている。この理由として、イケチョウガイは大型化(最大20〜30cm)することからかなりの水質浄化効果が期待されること、また淡水真珠の母貝であることから真珠生産への夢がふくらむことなどが上げられる。例として、大阪府では市民グループ主体で、「道頓堀川でイケチョウ貝を用いて水質改善を目指すと共に4年後には淡水真珠を手にしよう。」とする活動が進められている。北九州市の頓田貯水池の水質改善の試みとしては、北九州市環境科学研究所がイケチョウ貝の飼育試験を実施し、良好な成績を収めている。その他千葉県我孫子市、滋賀県近江八幡市、大分県別府市などでも同様の試みが行われている。諫早湾干拓調整池においては、「諫早湾干拓調整池水辺環境の保全と創造のための行動計画」の中で陸域から流入する水質汚濁負荷削減対策を継続して推進しているが、まだ、調整池の水質に大きな改善の兆しはみられない。このため、本研究では水質浄化効果が期待されるイケチョウガイを用いて、調整池での生存可能性やCODや濁度の低下をねらいとした水質浄化効果について実験を行った。調査は平成18年度〜19年度の2ケ年にわたり行ったが、ここでは平成19年度の結果を中心に報告する。