著者
磯部 〓三
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.830-837, 1979-10-05

宇宙空間には, 一立方センチ当り10^<-13>個程度の固体微粒子(星間塵)がある. その存在に関する示唆は, すでに18世紀に暗黒星雲の実視観測からハーシェルによってなされていた. 光学観測が中心であった今世紀半ばまでの天文学においては, 星や散光星雲の光を背景にしてのみ星間塵の観測がなされていた. しかし, 近年の赤外線, 紫外線, 電波の観測により, 星間塵自身の諸性質およびそれを取り巻く環境がより細かく観測されるようになり, 星や太陽系の誕生等の問題に星間塵が重要な役割をはたしていることが判ってきた. ここでは, 星間塵に関する観測結果を列挙し, その組成の解明がどのように進んできたかを書いてみる.